庭づくろい Mending Garden

〈庭づくろい〉

〈庭づくろい/Mending Garden〉は、アーティストの榎本浩子とともに佐賀大学美術館の緑地を使用した誰でもが共有できる小さなガーデニングプロジェクトです。
ここではそれぞれの季節に合わせ、様々な草花を育てています。植物としての見た目の美しさだけではなく、特に【治癒】の効果に注目しています。多くの草花には、古くよりそれぞれ様々な効能・薬効があると言われています。ハーブティーや料理に使用にしたり、スキンケアに使用したり、または香りをかぐことでリラックス効果を得ることができるものなど様々です。
そして、鑑賞用としてだけではなく、共有できる庭(share garden)として、自由に収穫いただくことができます。
※利用する際は、植物の成長や他者への配慮のうえ、ご利用ください。

ねこの毛づくろいを眺めるのが好きで、見ているうちに気持ちがほどけて眠くなってしまうことがある。「毛づくろい」をという言葉は、英語にするとあまり良いイメージのない言葉に感じるが、ねこと暮らしていると、実際は毛並みを整えたり気持ちを落ち着けたりと、そのほとんどは自分のための営みだとわかる。
庭仕事や畑、絵や料理など、手やからだを動かして自分のために何かをつくることもまた、毛づくろいのようなものでもある。
とりわけ草花と向き合う時間は、急激な体力と精神の落ち込みという消極的な理由から始まったものだったが、土を耕し、種をまき、苗を育て、収穫し、種をとる。どの過程のなかにも、難しさを感じると共に小さな発見と幸せを見つけることができた。 そうやって、その日一日を生きるために続けていたことが、今に、この場所につながっている。

ここに植えた草花は、全て香りを楽しんだり、お茶や料理に使うことができる。もう少し成長したら美術館に来た人が立ち止まり、香りにふれてみたり、少しだけ摘んでいったりするかもしれない。
とても小さな庭だけれど、そうして人が関わっていくうちに、庭も人も少しずつ、つくろわれていくのではないだろうか。このささやかな営みはきっかけにすらならないかもしれないが、いつか、それぞれが、自分にとっての生きる糧のようなものを見つけてもらえたらうれしい。
アーティスト 榎本浩子

榎本浩子Hiroko Enomoto

群馬県生まれ。 女子美術大学大学院美術研究科修了。
日々の出来事を題材に、弱さや傷つきやすさとその修復をテーマに制作や活動を行なっている。主な活動歴に『庭の記憶/土地の修復』(2023年、Art & Garden ねこぜ、大分)、『クリテリオム99 榎本浩子』(2022年、水戸芸術館 現代美術ギャラリー、茨城)、『ここの庭』(2022年、ゆいぽーと、新潟)がある。

草花について

キューバミント

キューバミント

モヒートに使われるミント。
他のミントよりも力強く、根が少しでも残っていれば、どんどん広がり枯れることはほとんどない。
猛暑の夏、早朝に草刈りを終えたあと、自家製のジンジャエールやコーラシロップを炭酸水で割り、そこにキューバミントを浮かべると、一気に爽快な気分になる。

ボリジ

ボリジ

星のかたちをした青い花が好き。
毎春こぼれ種からいつの間にか芽を出し、気づけば花が咲いている。
たくさんの花をつけると、まわりにはミツバチが集まる。「喜びをもたらす花」ともいわれるが、その独特な姿を見るだけで心が晴れる。香りはないけれど、飲み物に浮かべたりサラダに添えたりと、彩りを楽しんでいる。

セントジョーンズワート

セントジョーンズワート

種から育て始めたが、なかなか芽が出ず、やっと出た小さな芽を大切に育てている。畑に植えると翌年には大きくなり、さらにその次の年には黄色い花がたくさん咲いた。
抽出液にすると切り傷や炎症に役立つといわれるが、小さな黄色い花のかわいらしさをそのまま楽しんでいる。

オレガノ

オレガノ

香りが好きで植えたオレガノ。ちょうど同じころ、マジョラムも種から育てていたら、見分けがつかなくなってしまった。今回植えたものはオレガノだと思うけれど、正直自信はない。
どちらもいい香りで、お茶にも料理にも使える。パスタに加えたり、肉や魚と合わせたりと、出番は多い。

エキナセア

エキナセア

2022年、新潟で滞在制作をしていたとき、親切にしてくださったご夫婦が育てていたのを見て、種をまいたら勢いよく育ち、群馬の暑い夏にも負けずに花を咲かせた。
緑の多い夏に鮮やかなピンクの花がたくさん咲いていると、弱った体も少しは元気をもらえる。翌年はこぼれ種でさらに増え、2023年に訪れた福島ではオレンジの株を分けてもらった。
お茶やチンキにもできるが、今はただ花を眺めて楽しんでいる。

チャイブ

チャイブ

いつ植えたのか覚えていないけれど、プランターに根づいていて、春には細い葉を伸ばし、薄紫色の花を咲かせる。ほとんど手をかけなくても虫もつかず、毎年きれいに咲く。
葉も花も食べられ、ネギのように薬味にしたり、スープに入れたりと重宝している。

モナルダ

モナルダ(ベルガモット)

種から育て、いまでは春になると大株に育ち、鮮やかな花を咲かせる。とても強く、増えすぎて他の草花を圧倒している。
ハーブティーとしても使えるが、虫がよくつくのであまり使うことはない。草刈りをしながらピンクの花と香りを楽しんでいる。

ラベンダー

ラベンダー

乾燥しても香りがそのまま残り、ドライフラワーにして置いておくだけでもいい。香りの強いイングリッシュラベンダーを育てたくて種をまいたが、発芽が難しく、大きくなるまでに何年もかかった。
その大きく育った株を挿し木で増やしていているところだが、湿気に弱いため、周りの雑草を伸ばさないように気をつけている。
ラベンダーは猫との相性が良くないので、家には絶対に持ち込まない。かつて一緒に暮らしていた猫が腎臓病を患ってからは、ラベンダーの入った日用品も避けるようにしている。

レモンバーム

レモンバーム

爽やかなレモンのような香りが好きで、長年育てている。株分けで増やしたり、増えすぎて整理したり。朝、庭で摘んだ葉をお茶にして飲むと、一日の始まりが心地よくなる。

ローズマリー

ローズマリー

いつからか実家の庭に大きな株があり、小さな青い花を咲かせている。自分で種から育てたものは湿気に負けてしまいがちだが、元気に育てば活用の幅は広い。
チンキや軟膏にして使ったり、料理に加えたり。なかでもフライドポテトに合わせると格別。

タイム

タイム

肉や魚料理によく合うハーブ。種をまくと芽はよく出るのに、雑草や夏の蒸し暑さにやられて何度も枯らしている。
最近は猛暑の草刈りが大変なので、グランドカバーにもなるロンギカウリスタイムを植えようと思っている。

レモングラス

レモングラス

イネ科で見た目はただの草のようだが、レモンの香りがある。毎夏大きく育つが、群馬の冷たく厳しい赤城おろしのせいか、冬を乗り越えられたことがない。
東南アジアの料理には欠かせない存在で、トムヤムクンやカレーに使うと一気に本格的な味わいになる。フレッシュのままお茶にしてもよい。夏はレモンが実らない代わりに、レモングラスが爽やかさを運んでくれる。

キューバミント
ボリジ
セントジョーンズワート
オレガノ
エキナセア
チャイブ
モナルダ(ベルガモット)
ラベンダー
レモンバーム
ローズマリー
タイム
レモングラス

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    2025 09.17
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