SUAM/ROOT Vol.3 遠藤夏香 -景色を知る/地図をなでる-
佐賀大学美術館では、地域の芸術文化交流地点として、様々な人が地域ゆかりの文化・芸術に触れることを目的に、九州を拠点に活動をする若手・中堅アーティストを個展形式で紹介する企画展「SUAM/ROOT」を開催します。ROOTは「根」や「本質」といった意味のほかに、英語の “root for” に由来する「応援する」という意味も込められています。本展では国籍や出身、表現手法を問わず、地域に根差して活動を続け、今後の活躍が期待されるアーティストを紹介していきます。
第3回目となる本展では、群馬県出身で現在は佐賀市を拠点に活動を行う遠藤夏香を紹介します。遠藤はこれまで、他者もしくは自身が残した記憶・記録や言葉など、過去や歴史に対し、身体を基軸として制作を行ってきました。指に直接絵具をとり、紙に触れて描き出す手法によって作り出される作品は、目に見えない記憶や感情をたどった痕跡のようにも感じられます。本展のタイトルとなった「景色を知る/地図をなでる」は、いわば作品制作を通して遠藤が現在暮らす佐賀という地域を知るための方法であるともいえるでしょう。あいまいでつかみにくいものを、身体を通して感じ取り、作品というかたちにする。それによって、遠藤は確かな実感を得ています。情報があふれる現代だからこそ、私たちにとって『実感すること』の意味や、創造性の豊かさに改めて気付かされるのではないでしょうか。

《良い土地》2025年 A画用紙、アクリル絵具、コンテ、ジェッソ 34.5cm×34.5cm 作家蔵
開催概要
会期 | 2025年10月3日(金)~2026年2月15日(日) |
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会場 | 佐賀大学美術館 特別展示室 |
開館時間 | 10時~17時(入館は16時30分まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合、翌火曜日休館)、年末年始(12月28日~1月6日)、 2026年1月17日(土)、18日(日)、2月4日(水)~6日(金) |
観覧料 | 無料 |
企画 | 五十嵐純(佐賀大学美術館 学芸員) |
関連イベント
イベントについては、後日情報を更新します。
アーティスト

遠藤夏香 ENDO Natsuka
1984年群馬県生まれ。武蔵野美術大学大学院修了。2021年より佐賀県在住。他者、もしくは自身の残した記憶・記録や言葉など、過去や歴史に対して身体を基軸に制作をする。指に直接取った絵具で紙に触れて描き起こすイメージを中心に、リサーチの中で得るメモ書きのようなドローイングや資料を組み合わせる流ことでインスタレーションとし、ある事象への手触りを可視化する。主な展覧会に「手・足・口」(2025年、SAGA ART WEEK企画展、佐賀県)、「前橋の美術2024」(2024年、アーツ前橋、群馬県)、「新鋭作家展 第9 回優秀者 遠藤夏香、木村剛士『ざらざらの実話』」(2020年、川口市立アートギャラリー・アトリア、埼玉県)など。


