展覧会情報
【終了 申請企画展 近藤恵介 絵画の練習】
画家・近藤恵介(1981年−)が2017年8月より始めた連続展「近藤恵介の「卓上の絵画」」は、画家・鏑木清方(1878−1972年)が提唱した「卓上芸術」を下敷きに発想したものでした。本展「絵画の練習」では、2017年の「卓上の絵画」以来の作品を一堂に集め、さらに新作を加えて展観します。近代の日本画家たちの仕事を読み返し、写し、描き足し、配置し直してきたこの実践を、美術館での展示における絵と絵の一時的な結びつきとして示すことで、絵画が——より厳密に言えば、日本画や日本画家たちが、かつて知っていた、遠く忘れられてしまった手触りの部分を確かめようとするものです。
また、関連プログラムとしてシンポジウムを開催します。
《ひとときの絵画》2024 紙本彩色(4つの紙片) *中央:小林古径《扇面法華経冊子 模写》の模写(部分)
【開催概要】
近藤恵介「絵画の練習」
会期:2024年11⽉29⽇(⾦)−12⽉15⽇(⽇)
会場:佐賀大学美術館 1階
開館時間:10〜17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日
観覧料:無料
主催:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所
助成:日本学術振興会 科学研究費助成事業
*本展は、JSPC科研費基盤研究(C)課題番号 21K00213「鏑木清方「卓上芸術」を端緒とする、今日の絵画表現の可能性としての「卓上の絵画 」」の研究成果展として実施しています。
お問合せ:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所(b3klab@gmail.com)
【関連事業①】
ギャラリー・トーク
講師:近藤恵介
日時:12月7日(土) 14:00-14:30
会場:佐賀大学美術館 1階
対象:どなたでも
参加:無料
申し込み:不要 当日会場にお越しください
【関連事業②】
シンポジウム「絵画の練習」
日時:2024年12月8日(日) 13:00-16:30
会場:佐賀大学 教養教育2号館 2101教室
対象:どなたでも
参加:無料
申し込み:不要 当日会場にお越しください
主催:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所
助成:日本学術振興会 科学研究費助成事業(課題番号 21K00213)
お問合せ:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所(b3klab@gmail.com)
発表者
石川卓磨(武蔵野美術大学)
今西彩子(鎌倉市鏑木清方記念美術館)
笹川修一(小林古径記念美術館)
佐藤美子(川崎市市民ミュージアム)
近藤恵介(佐賀大学)
司会
花田伸一(佐賀大学)
スケジュール
発表
13:00−13:10 挨拶 近藤恵介
13:10−13:40 今西彩子「鏑木清方の古画の研究 ~『新浮世絵講義』『風俗画技法』を手がかりに」
13:40−14:10 笹川修一「小林古径の素描-模写と写生」
14:10−14:40 佐藤美子「絵画の練習 安田靫彦の場合」
14:40−15:10 石川卓磨「絵画制作と時間をめぐって」
休憩
15:10−15:30
ディスカッション
15:30−16:30
概要
「絵画の練習」展の関連プログラムとして、シンポジウムを開催します。
このシンポジウムでは「絵画の練習」展がモチーフとしている、近代の日本画家たちによる素描に注目します。絵画を学ぶ際の有効な方法として——つまり絵画の「練習」として、写生や模写は古くより実践されてきました。対象を写すという極めて素朴な行為は、その素朴さゆえに多くの表現の基礎とされてきました。一方で、これらの方法は、今日の絵画制作の「練習」として、どのような役割を果たしうるのでしょうか?
「練習」を考えることは、制作のプロセスを考えることでもあります。およそ100年前の画家である、小林古径、安田靫彦、鏑木清方らの作例を頼りに、完成した作品を俯瞰して眺めるのみならず、その絵画の生成の過程をていねいに観察し、動的な視点で捉え直すことで、画面に折り畳まれた時間を展開することを試みます。安田靫彦の有名な言葉に「えらい芸術ほど多くの秘密を持っている」(「古画雑感—日本画とは何か—」1939年)というものがありますが、一筆ごとに逡巡し、選択を重ね、不安と高揚を繰り返しながら描き進める画家たちの営み——言い換えれば、画家の秘密の部分に肉薄することで、100年前の画家たちの営為の潜勢力を確かめ、翻って100年先を見通すことを目的とします。
【アーティスト】
近藤恵介 Keisuke Kondo
1981年、福岡県生まれ。2007年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。画家。現在、佐賀大学芸術地域デザイン学部准教授。近年は、「日本画」の方法から「絵画」の別のあり方を考え、展覧会や紙媒体を中心に作品発表を行なっている。近年の主な展覧会に、個展「さわれない手、100年前の声」(gallery αM、2023)、個展「絵画の手と手」(LOKO GALLERY、2022年)、連続展形式の個展「卓上の絵画」(MA2 Galleryなど、2017-2020年)、2人展「あっけなく明快な絵画と彫刻、続いているわからない絵画と彫刻」(川崎市市民ミュージアム/LOKO GALLERY、2023年)、2人展「、譚 近藤恵介・古川日出男」(LOKO GALLERY、2019年)、グループ展「響きあうアート —美の拡がり、美術の拡がり—」(佐賀大学美術館、2021年)、グループ展「VOCA展2019」(上野の森美術館、2019年)など。作品集に、共著『あっけなく明快な絵画と彫刻、続いているわからない絵画と彫刻』(HeHe、2023年)、単著『12ヶ月のための絵画』(HeHe、2014年)、論文に「卓上の絵画、線の振幅」(佐賀大学芸術地域デザイン学部研究論文集 第4巻、2021年)など。